耐震改修した場合に受けられる減税制度は、A.住宅借入金等特別控除、C.既存住宅を耐震改修した場合の税額控除とE.固定資産税の減額です。
減税制度を受けられる耐震改修工事は、新耐震基準※を満たさない住宅について、耐震基準に適合する改修工事を行った場合を対象としています。
※ 新耐震基準とは、昭和56年に耐震性が強化されるように改正された建築基準法の耐震基準のこと。施行された昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建物に対して新耐震基準が適用されています。
返済期間が10年以上の住宅ローンを利用して自分の住んでいるマイホームについて所定の耐震リフォームをすると、A.住宅借入金等特別控除が利用できます。
主な適用要件は「買う3‐1住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」を参照してください。控除額の計算対象となる年末借入金残高や控除率、適用要件の緩和も同一です。
また対象となる増改築は、工事費用が100万円超で、かつその2分の1以上が居住用部分に関するものであり、住宅について行う所定の耐震基準に適合させるための修繕・模様替えの工事(1-1の一般の増改築工事は含みません)です。
なお、耐震改修工事に当たり、国や地方公共団体から補助金や給付金などの交付を受けている場合には、対象となる工事費用から補助金等を控除した金額で、適用要件を満たしているかどうかを判定します。
「買う3‐1住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」と同様に申告に必要な住民票、源泉徴収票、住宅借入金等特別控除額の計算明細書、借入金の年末残高証明書のほか、増改築等工事証明書、請負契約書の写し等(増改築等をした年月日、その費用の額及び増改築等をした住宅の床面積が分かる書類)を添付して確定申告します。
既存住宅を耐震改修した場合の税額控除とは、昭和56年5月31日以前に建築された住宅について、地震に対する安全性の向上を目的とした増築、改築、修繕、または模様替えなどの耐震改修を平成33年12月31日までに行った場合、国が定める耐震改修の標準的な費用の額の10%を、工事完了の年1年限りで所得税から控除する制度です。
なお、耐震改修に際して、国や地方公共団体から補助金や給付金などの交付を受けている場合には、平成26年3月までは耐震改修の実費から、平成26年4月以降は標準的な費用の額から、補助金等を控除することになります。
平成26年4月1日以降、改修費用に含まれる消費税等の税率が8%または10%の場合については、控除限度額が次のようになります。
工事完了年 | 耐震改修工事限度額 | 控除率 | 控除限度額 |
---|---|---|---|
平成26年4月1日から 33年12月31日まで |
250万円 | 10% | 25万円 |
対象となる住宅は、昭和56年5月31日以前に建築された居住用の家屋で、新しい耐震基準に適合していない家屋であることが前提です。ただし、こうした居住用家屋が複数ある場合には、主として使用している家屋一つだけに限られます。
適用を受けようとする人の要件は、国内に居所を持つ居住者※であること以外、特にありません。「2-1住宅借入金等特別控除」のように、一定の住宅ローンの借入や合計所得金額3,000万円以下という制限もありません。
※ 平成28年4月1日以降、住宅を耐震リフォーム等する一定の非居住者にも適用が可能となりました。
また、A.住宅借入金等特別控除やB.特定増改築をした場合の住宅借入金等特別控除、D.既存住宅を特定改修した場合の税額控除との重複適用に制限はありません。
源泉徴収票、耐震改修特別控除額の計算明細書のほか、住宅耐震改修証明書(平成29年4月以降は、増改築等工事証明書又は住宅耐震改修証明書)を添付して確定申告します。
耐震リフォームの場合のE.固定資産税の減額とは、昭和57年1月1日以前に建築された住宅で、新しい耐震基準を満たさない住宅について、耐震基準に適合するような費用50万円を超える耐震改修を行った場合に、耐震改修を完了した翌年度分以降の一定期間の固定資産税の税額の2分の1相当額を減額するという制度です。減額対象となる住宅の固定資産税は床面積120u相当分を上限とします。
減額期間は次の通りです。
工事完了時期 | 減額期間 |
---|---|
平成25年1月1日から平成30年3月31日まで | 1年度分※ |
※特に重要な避難路として自治体が指定する道路(耐震改修法の改正により新たに措置)の沿道にある住宅の耐震改修については、2年度分
対象となる住宅は昭和57年1月1日以前に建築された住宅です。
対象となる工事は50万円超の耐震改修です。
耐震改修に関する所得税の特例「2-1住宅借入金等特別控除」、「2-2既存住宅を耐震改修した場合の税額控除」の要件を満たせば、この固定資産税の減額制度と併用することができます。
耐震改修工事の完了後3ヶ月以内に住宅のある市町村等に、固定資産税減額証明書(平成29年4月以降は、増改築等工事証明書又は住宅耐震改修証明書)か、住宅性能評価書の写し、工事費用を明らかにする領収書等の書面を減額の申告書とともに提出します。