住宅の売買やリフォームをする際に影響する「消費税」について、特集しています。 ※平成28年11月28日に、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律」が公布され、引き上げ時期が、平成29年4月から平成31年10月に再延期されることが決定しました。
消費税とは、日本国内で行われる商品販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税金(国税・地方税)のことです。 社会保障と税の一体改革により、消費税率は段階的に引き上げられることが予定されています。
- 平成26年4月1日より 8% (消費税6.3% 地方消費税1.7%) ※実施済み
- 平成31年10月1日より 10% (消費税7.8% 地方消費税2.2%)
※消費税率10%への引き上げ時期は、当初予定の平成27年10月から平成29年4月に変更になり、さらに平成31年10月に再延期されました。
住宅の売買やリフォームなどの住宅関連で、消費税が課税される対象には、次のような金額が対価となる取引などが挙げられます。これらの金額が、原則として消費税率をかける課税標準となります。
- 住宅の建物価格(土地は非課税)
※消費税課税事業者ではない個人や免税事業者などが売り主の場合を除く - 土地の造成・整地費用など
- 建物の建築工事やリフォーム工事などの請負工事費用
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 住宅取得に必要な諸費用の一部(住宅ローン融資手数料、司法書士報酬など)
- 駐車場の賃料(住宅の賃料は非課税)
※マンション敷地内の管理組合が管理する駐車場を除く
住宅の売買や新築などで消費税が課税されるのは、住宅の引き渡し時点です。したがって、契約締結は平成31年9月30日以前であっても、平成31年10月1日以降に引き渡しを受ける場合、消費税率は新税率の10%が適用されます。
ただし、経過措置として、以下の場合は旧税率が適用されます。
- 注文住宅などで、工事請負契約を下の表の指定日前に締結した場合、引き渡しが税率改正後であっても旧税率が適用されます。
- 新築分譲住宅などは売買契約なので、原則として引き渡し時点の税率が適用されます。しかし、建物の譲渡に関わる契約の場合で、その建物の内外装や設備などについて譲渡を受ける人の注文※1に応じて作られる契約※2を下の表の指定日前に締結した場合は、引き渡しが税率改正後であっても旧税率が適用されます。
※1平成25年3月25日付国税庁長官通達(平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いについて)によりますと、譲渡を受ける人の注文には、『注文者が壁の色又はドアの形状等について特別の注文を付すことができることとなっているもの』も含まれることとなっています。
※2ただし 、契約にかかわる工事の増額分については除外
住宅取得については、取引価格が高額であることなどから、その影響を緩和するために、次のような所得税等の軽減措置が取られます。
(1)住宅ローン控除
住宅ローン控除の適用期限を平成33年12月末入居まで延長したうえで、消費税率が8%または10%が適用される場合に限って、所得税からの最大控除額及び住民税からの控除上限額が以下のようになります。
( → 住宅ローン控除についての詳細は、住まいの税金「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」を参照)
なお、消費税が非課税となる個人の売り主から購入した既存(中古)住宅の場合は、所得税からの借入限度額は2,000万円、最大控除額は200万円、住民税からの控除上限額は9.75万円(前年課税所得×5%)となります。
なお、住宅ローン控除の拡充措置を講じてもなお効果が限定的な所得層に対しては、別途、「すまい給付金」が設けられます。
(2)住宅ローンを利用せずに認定長期優良住宅および認定低炭素住宅を新築した場合の減税(平成33年12月末まで)
(→ 詳細は、住まいの税金「認定長期優良住宅を新築等した場合の所得税の特別控除」を参照)
(3)リフォームをした場合の減税(平成33年12月末まで)
・ローンを利用せずに、一定の耐震・省エネ・バリアフリー・同居対応・長期優良住宅化リフォームをした場合
工事費等の10%を所得税額から控除できる特例措置について、適用期限を平成33年12月末まで延長したうえで、8%または10%の消費税率が適用される場合に限って、以下のようになります。
※ 長期優良住宅化リフォームの特例措置を受けるためには、増改築による長期優良住宅の認定の取得が必要
・ローンを利用して、一定の省エネ・バリアフリー・同居対応・長期優良住宅化リフォームをした場合
ローン残高の一定割合を所得税額から控除できる特例措置について、適用期限を平成33年12月末まで延長したうえで、8%または10%の消費税率が適用される場合に限って、以下のようになります。
省エネリフォームと併せて行う一定の耐久性向上改修工事(長期優良住宅化リフォーム)に対しても2.0%の控除率が適用されます。
(→ 詳細は、住まいの税金「耐震リフォームに対する減税制度」、「バリアフリーリフォームに対する減税制度」、「省エネリフォームに対する減税制度」、「同居対応リフォームに対する減税制度」、「長期優良住宅化リフォームに対する減税制度」をそれぞれ参照)
(4)工事請負契約書および売買契約書の印紙税の税率の特例措置の拡充
(→ 詳細は、住まいの税金「印紙税」を参照)